移住支援金とは?制度の全体像

移住支援金は、内閣官房が推進する地方創生の取り組みの一つで、正式名称を「地方創生移住支援事業」といいます。都道府県と市町村が共同で交付金を支給する仕組みで、東京圏に住む人が地方へ移住し、就業・起業・テレワーク継続などの要件を満たした場合に支給されます。

対象がなぜ「東京圏から地方へ」に限定されているかというと、この制度が東京一極集中の是正を目的としているためです。総務省の人口移動統計でも東京圏への転入超過が長年続いており、地方への人の流れを後押しする施策として設計されています。

移住支援金の基本額(国の制度、都道府県が実際の支給額を設定)
区分金額備考
単身最大60万円都道府県が設定する額(上限60万円)
世帯(2人以上)最大100万円都道府県が設定する額(上限100万円)
18歳未満の子ども加算子ども1人につき最大100万円2022年度(令和4年度)から追加された加算

※実際の支給額は移住先の都道府県・市町村が個別に設定するため、上限額どおりとは限りません。必ず移住先自治体の公式サイトで確認してください。

子ども加算の例

  • 子ども3人を帯同する世帯の場合:世帯分100万円+子ども加算100万円×3人=最大400万円(制度上の上限額であり、実際の支給額は自治体設定による)

国・県・市町村 3階層の併給関係

移住支援金の仕組みをわかりにくくしている最大の理由が、この「3階層構造」です。制度自体は内閣官房が全国共通の枠組みを設計していますが、実際に窓口となり支給額を決めるのは移住先の都道府県で、さらに市町村が独自の上乗せ制度を用意しているケースもあります。

移住支援金の3階層
階層役割確認先
国(内閣官房)制度の枠組み・上限額・対象要件を設計内閣官房「地方創生」公式サイト
都道府県支援対象市町村の指定、実際の支給額の設定、申請窓口の運用移住先都道府県の公式サイト
市町村独自の上乗せ制度(住宅取得補助・子育て支援等)を実施する場合がある移住先市町村の公式サイト

「移住支援金 最大〇〇万円」という表記を見かけたとき、その内訳が「国の制度分(単身60万円/世帯100万円+子ども加算)」だけなのか、「市町村独自の上乗せ分」を含んでいるのかは、自治体ごとに表記が異なります。金額を見るときは、まず国の基準額(単身60万円・世帯100万円・子ども加算100万円/人)を確認しましょう。次に、自治体独自の上乗せがあるか確かめます。この2段階で見ると、金額の誤解を防ぎやすくなります。

金額表記で注意したいこと

  • 市町村独自の上乗せ制度の有無・金額は自治体ごとに異なるため、本記事では国の基準額のみを扱います。上乗せの具体額は移住先自治体の公式ページで個別に確認してください(要確認)

対象条件を満たすかチェック

移住支援金には、移住元(東京圏側)と移住後(地方側)の両方に条件があります。内閣官房の公式情報によると、移住元の条件は次のとおりです。

  • 移住直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住していたか、東京圏(条件不利地域を除く)に在住しつつ東京23区へ通勤していたこと
  • ただし直近1年以上は、東京23区に在住または通勤していること
  • 雇用者として通勤していた場合は、雇用保険の被保険者としての通勤に限られる

移住後の条件としては、申請日から5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があることが求められます。加えて、次のいずれかの就業・起業要件を満たす必要があります。

  • 都道府県が運営するマッチングサイトに掲載された求人への就業
  • テレワークで移住前の仕事を継続すること(自己都合による移住であり、週20時間以上テレワークで従事していること等が目安)
  • 地方創生起業支援金の交付決定を受けて起業すること(起業支援金と併用可能)
世帯タイプ別の基本額シミュレーション(国の基準額のみで計算した一般的なケース)
世帯タイプ内訳合計(上限額)
単身単身分60万円60万円
夫婦(子どもなし)世帯分100万円100万円
夫婦+子ども1人世帯分100万円+子ども加算100万円200万円
夫婦+子ども2人世帯分100万円+子ども加算100万円×2人300万円

※上記は内閣官房が示す制度上の上限額で試算した一般的なケースです。実際の支給額は移住先都道府県・市町村の設定額によって異なるため、必ず移住先自治体の公式サイトで確認してください。

暮らし方に合わせた支援金の使い方

同じ移住支援金でも、家族構成や働き方によって活用の仕方は変わります。ここでは3つの典型的なケースで考え方を整理します。

  • 子育て世帯: 子ども1人につき最大100万円の加算があるため、世帯人数が多いほど制度上の上限額は大きくなります。ただし加算額も都道府県の設定次第のため、移住先候補の自治体ごとに実際の加算額を比較することが重要です
  • テレワーク移住: 会社を辞めずに移住したい人は「移住前の仕事をテレワークで継続する」要件に該当するか確認します。自己都合の移住であること、勤務先の同意、週あたりの就業時間の目安など細かい要件があるため、移住先自治体の窓口に事前相談するのが安全です
  • 起業志向: 地方創生起業支援金(別枠、最大200万円程度)と移住支援金は併用可能とされています。起業計画がある場合は、移住支援金だけでなく起業支援金の要件も合わせて自治体に確認するとよいでしょう

申請の流れと注意点

申請先は内閣官房ではなく、移住先の市町村(または都道府県)の窓口です。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 移住先自治体が移住支援金の対象市町村に指定されているか確認する
  2. 移住・転入手続きを行う(住民票の異動)
  3. 就業(マッチングサイト経由の求人への就業)・起業・テレワーク継続のいずれかの要件を満たす
  4. 移住先自治体の窓口に申請書類一式を提出する(申請期限の目安は転入後1年以内、自治体により異なる場合があるため要確認)
  5. 審査後、支援金が交付される
申請時に必要となりやすい書類の例
書類内容
申請書自治体所定の様式
住民票の写し移住後の住所を証明
就業証明書(一般 or テレワーク)就業先・雇用形態・就業日数等を証明
東京圏在住・通勤を証明する書類移住元の在住期間・通勤実績の証明
誓約書5年以上の定住意思等を誓約

※必要書類は自治体ごとに様式・追加書類が異なります。申請前に必ず移住先自治体の公式サイトで最新の様式を確認してください。

支援金の返還が必要になるケースにも注意が必要です。検索した複数の自治体公表情報によると、虚偽申請があった場合や、申請日から一定期間内(自治体によっては3年未満など)に移住先の都道府県外へ転出した場合は全額返還、一定期間(3年以上5年以内など)での転出は半額返還となる運用が一般的とされています。ただし返還の具体的な年数区分や条件は自治体ごとに定められているため、正確な基準は移住先自治体の公式ページで確認してください(要確認)。

よくある誤解・ロングテール回収

「移住支援金 いつまで」と検索する人が多いのは、制度の終了時期が気になるためだと考えられます。移住支援金は単年度の予算措置ではなく、年度ごとに制度の枠組みが継続される形で運用されており、内閣官房の公式サイトでも継続的に情報が更新されています。ただし、対象自治体の指定状況や支給額は年度によって見直されることがあるため、「今年度も実施されているか」は移住を検討する年度ごとに移住先自治体の公式サイトで確認するのが確実です。

また「移住支援金」と「移住補助金」は混同されやすい言葉です。移住支援金は国(内閣官房)が枠組みを設計する全国共通の制度である一方、移住補助金は主に市町村が独自に実施する制度を指すことが多く、対象要件や金額の考え方が異なります。両者の違いについては、移住補助金を詳しく解説した記事もあわせてご覧ください。

申請サポート・関連サービス

移住支援金の条件は自治体ごとに細部が異なるため、最終的な要件確認は移住先自治体の移住相談窓口を活用するのが確実です。多くの自治体には移住相談員が配置されており、対象要件の該当可否や必要書類について個別に相談できます。

移住が決まったら、住民票の異動と合わせて電気・ガス・水道・インターネットなどの新生活インフラの手続きも必要になります。手続きをまとめて比較できるサービスを活用すると、引っ越し準備の負担を減らせます。

移住準備で確認しておきたいこと

  • 移住先自治体が移住支援金の対象市町村に指定されているか
  • 新生活のインフラ(電気・ガス・ネット)の切り替え手続き
  • 引越し業者の見積もり比較

よくある質問

  • Q. 単身でも100万円もらえますか?
    A. 単身の場合の上限額は60万円です。100万円は2人以上の世帯が対象の上限額で、単身者はこれに該当しません。
  • Q. 転職しないともらえませんか?
    A. 転職しなくても対象になる場合があります。移住前の仕事をテレワークで継続する要件を満たせば、転職せずに支援金の対象となるケースがあります。
  • Q. 副業だけでも対象になりますか?
    A. 副業のみで要件を満たせるかどうかは自治体・案件ごとの判断が必要です。マッチングサイト掲載求人への就業、テレワーク継続、起業のいずれかの要件に該当するかを移住先自治体に個別に確認してください(要確認)。

移住支援金は、国の制度でありながら実際の運用は都道府県・市町村に委ねられている点が最大の特徴です。「最大いくらもらえるか」という金額だけでなく、「自分の移住パターンが対象要件に当てはまるか」を移住先自治体の公式情報で確認することが、制度を正しく活用する第一歩になります。

出典