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このテーマの解説・移住前に知っておきたいこと

名水百選は、どんな水を選んでいる?

名水百選は、水を守る取り組みを広く紹介し、地域の人が水質の保全に関心を持てるよう、環境庁、現在の環境省が選んだ一覧です。湧き水、川、地下水などが含まれます。最初は1985年に、水の質や量、周りの環境が守られているか、住民の活動などを踏まえ、全国から100箇所が選ばれました。

20年以上が過ぎた2008年には、地域から推薦された場所を審査し、新たに100箇所を「平成の名水百選」として選びました。1985年の「昭和の名水百選」と合わせて、全国で200箇所です。

選ばれているのは、忍野八海(山梨県忍野村)や白川水源(熊本県南阿蘇村)のような湧水群、柿田川湧水群(静岡県清水町)や安倍川(静岡県静岡市)のような河川、宮水(兵庫県西宮市)のような地下水など多様です。山間部の湧水地から、市街地に近い河川・用水路まで、立地もさまざまです。

1つの自治体に複数の名水が選ばれている例もあります。山梨県北杜市には「八ヶ岳南麓高原湧水群」と「白州/尾白川」の2件、富山県には複数の自治体にまたがる「黒部川扇状地湧水群」があります。反対に、環境省の一覧が広域の河川を指している場合(長良川の中流域など)は、流域にあたる複数の自治体にまたがって紹介されていることもあります。

名水百選は、水の質や量、周りの環境を守る取り組みを評価する制度です。その水をそのまま飲めると保証しているわけではありません。飲みたいときは、地域の管理者や自治体に確かめる必要があります。

水辺の散歩と、地元の食を楽しむ

名水のある地域には、水を汲む共同の場所や、湧き水の公園が日々の暮らしにあるところもあります。散歩や買い物のついでに、水を汲みに立ち寄る住民も見られます。湧き水や清流を身近に感じられることが、こうした街で暮らす楽しみの一つです。

水は、地元の食や仕事ともつながっています。兵庫県西宮市の「宮水」は灘の酒造りに使われる水として知られ、長野県安曇野市の「安曇野わさび田湧水群」の周りでは、わさびが盛んに育てられています。酒、豆腐、そば、味噌など、水を生かした食品づくりが根づく地域では、地元の食を通して水との関わりを感じられます。

湧水地や清流の周辺は、豊かな自然環境が保たれていることも多く、四季の変化を身近に感じながら暮らせる点も魅力の一つです。渓流沿いの散策路や、湧水を利用した親水公園が整備されている自治体もあります。

名水を目当てに観光客が訪れる地域では、水を軸にした観光振興や特産品づくりに取り組む自治体もあり、道の駅や直売所、湧水を使った加工品の販売など、地域経済の一部として水環境が活かされている例も見られます。

また、地域住民が主体となって湧水地や河川の清掃・保全活動を続けている土地では、そうした活動を通じた住民同士のつながりが生まれやすい傾向もあります。ただし保全活動への関わり方や活発さは地域ごとに差があるため、実際の暮らしぶりは移住前に現地で確かめてみてください。

その水は飲める? 家の水道とはどう違う?

名水百選に選ばれていても、その水を飲めるとは限りません。飲んでよいかは、水質検査の状況や管理者の案内で違います。生のまま飲むことを勧めていない場所もあります。湧き水を飲める暮らしを考えているなら、現地の管理者や自治体に必ず確かめてください。

近くに名水があっても、自宅の水道にその水がそのまま届くわけではありません。水源が同じ系統でも、水道水は浄水場での処理や塩素による消毒を経て届きます。家で使う水の水源や水質を知りたいなら、自治体の水道の窓口に聞いてみるとよいでしょう。

湧水地や水源保全区域の周辺では、地下水の過剰な汲み上げや土地利用の変化が水質・水量に影響することを避けるため、井戸掘削や開発行為に一定の届け出・規制を設けている自治体もあります。規制の有無や内容は自治体ごとに違うため、湧水の近くに家を建てたい場合は事前に自治体窓口へ相談することをおすすめします。

観光地として知られる名水地では、行楽シーズンに水汲み場や周辺道路が混雑し、生活道路にも観光客の車両が流入することがあります。買い物や通院の移動時間が季節によって変わる地域もあるため、日常の移動手段は繁忙期も踏まえて確認しておくと安心です。

山間部の湧水地は標高が高い立地も多く、冬場の積雪や道路の凍結が生活に影響する場合があります。積雪量や除雪体制は立地によって大きく違うため、冬季の暮らしについては気象データや実際の居住者の声を確認しておくとよいでしょう。

水辺との距離と、毎日の用事を比べる

家の水道の水源と、名水とのつながりは、自治体の水道の窓口に聞くのが基本です。湧き水を直接使いたいときは、飲んでよいかに加え、一度に汲める量や、仕事で使えるかなどのルールも確かめておきましょう。

湧水地周辺に家を建てたい場合は、水源保全区域の指定や井戸掘削・開発行為の届け出制度の有無を自治体に確認しておくと安心です。制度の内容は自治体ごとに違うため、具体的な土地に建築を検討する段階で個別に相談することをおすすめします。

観光地としての規模感も選ぶときのポイントです。観光客の多い名水地は道の駅や飲食店など生活インフラが整いやすい一方で繁忙期の混雑が生活に影響しやすく、静かな湧水地は買い物・通院先が遠い場合があります。自分たちの暮らし方に合った規模の地域を選ぶことが、移住後の満足度につながります。

標高や気候も見逃せない要素です。同じ名水地でも、平地の河川沿いと山間部の湧水地では冬の暮らしがまったく異なります。気象庁の気候データや、実際にその地域で暮らす住民・移住者の声を集めておくと、冬季のイメージがつかみやすくなります。

水辺の掃除や、水質を継続して調べる活動への関わり方も見ておきたいところです。住民の参加が前提の地域もあれば、こうした活動があまり盛んでない地域もあります。地域とどれくらい関わって暮らしたいかを考えながら、候補を絞るとよいでしょう。

水を守る取り組みと、地域の仕事

名水百選は、環境省が水を守る取り組みを紹介するために設けた制度です。1985年と2008年に選んだ計200箇所が現在の一覧ですが、今後、見直しや追加がある可能性もあります。気になる場所の最新情報は、環境省の資料で確かめてください。

多くの自治体では、名水を活かしたふるさと納税の返礼品開発や、湧水を使ったミネラルウォーター・地酒などの特産品化に取り組んでいます。取り組みの内容や規模は自治体によって差があるため、地域産業としての名水の活かし方に関心がある場合は、候補地の観光協会や商工会の情報を確認するとよいでしょう。

水源保全のため、独自の水源保全条例や地下水採取規制を設けている自治体も一部にあります。移住先での井戸利用や水回りのリフォームを検討する場合は、こうした条例の有無についても自治体窓口で確認しておくと安心です。

また、空き家バンクや移住相談の枠組みの中で、名水や豊かな自然環境を移住施策のアピールポイントとして打ち出している自治体もあります。移住支援の内容は自治体ごとに大きく違うため、候補地を絞り込む段階で複数の自治体の制度を比較しておくことをおすすめします。

よくある質問

  • Q. 名水百選に選ばれている水はそのまま飲めますか? / A. 選定は水質・水量・周辺環境の保全状況を評価するものであり、飲用に適することを保証する制度ではありません。生水での飲用を推奨していない湧水地もあるため、飲用を前提にする場合は現地の管理者や自治体に必ず確認してください。
  • Q. 名水百選は今も増えていますか? / A. 1985年(昭和60年)に100箇所、2008年(平成20年)に100箇所が選定され、現在は計200箇所です。今後の見直しや追加選定が行われる可能性はありますが、最新の指定状況は環境省の公表資料で確かめてみてください。
  • Q. 名水百選のある町に住めば、自宅の水道水もその名水になりますか? / A. 水源が同じ系統であっても、家庭に届く水道水は浄水場での処理・消毒などの工程を経ています。水道水の水源や水質を詳しく知りたい場合は、自治体の水道事業窓口に確認してください。
  • Q. 湧水の近くに家を建てるとき、注意することはありますか? / A. 水源保全のため、井戸掘削や開発行為に届け出・規制を設けている自治体があります。規制の有無や内容は自治体ごとに違うため、具体的な土地を検討する段階で自治体窓口へ相談することをおすすめします。
  • Q. 1つの自治体に名水百選が複数あることはありますか? / A. あります。山梨県北杜市には「八ヶ岳南麓高原湧水群」と「白州/尾白川」の2件が選ばれており、富山県の「黒部川扇状地湧水群」のように複数の自治体にまたがって選定されている名水もあります。

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